◆ 認知機能検査って何?75歳以上の高齢者に義務化
運転免許証を更新する際、75歳以上の高齢者には「認知機能検査」が義務づけられています。
これは、高齢者講習の一部であり、免許の更新可否にも影響を与える重要な検査です。
「検査に落ちたら免許が取り上げられるのでは…」
「記憶力が悪くなっていて不安…」
このように感じている方も多いのではないでしょうか?
しかし、正しい情報と適切な準備をしていれば、必要以上に怖がることはありません。
この記事では、認知機能検査の流れ・評価基準・対策法まで、わかりやすく丁寧に解説します。
◆ 認知機能検査の目的は?
認知機能検査の目的は、「運転に重大な支障をきたす可能性のある認知症の早期発見」です。
高齢ドライバーによる重大事故が社会問題になる中、安全対策の一環として導入されました。
この検査の結果に基づき、以下のような措置が取られます。
- 認知症のおそれがないと判断された場合 → 通常の高齢者講習へ
- 認知症の可能性がある場合 → 医師の診断や追加の適性検査へ
つまり、これは「運転を取り上げる」ためではなく、「必要な支援を提供する」ための制度なのです。
◆ 認知機能検査の構成と流れ
検査はおおよそ30〜40分程度で、以下の3つの課題に取り組みます。
◎ ① 時間の見当識(5問)
「今日は何年何月何日?」「今日は何曜日?」など、現在の時間に関する認識を問う問題です。
◎ ② 手がかり再生(記憶テスト:16問)
16種類の絵を提示され、それを記憶してもらい、数分後に思い出して答えてもらうテストです。
ヒントなし・ヒントありの2回で確認します。
◎ ③ 時計描写(1問)
空白の円の中に「11時10分」の時計の針を描いてもらう課題です。視空間認識や注意力を確認します。
◆ 結果の分類と講習の行方
検査結果は以下の3分類に分けられ、それぞれの対応が異なります。
■ 第1分類:認知症の可能性あり
・医師による診断書が必要
・場合によっては運転免許更新不可
・臨時適性検査の指示が出る場合も
■ 第2分類:認知機能低下の可能性
・「高度化講習(3時間)」の受講が必要
・免許更新は可能
■ 第3分類:問題なし
・通常の高齢者講習を受講し、免許更新可能
※ 判定結果は通知書として届きます。更新期限に間に合うよう早めに対処を。
◆ 対策①:時間の見当識は日常生活で鍛えられる
日付や曜日の把握は、意識的に習慣づけることで精度が高まります。
◎ 簡単にできる習慣
- 朝起きたら「今日は何日?」と声に出す
- カレンダーや新聞を毎日確認する
- 日記をつける(その日に感じたことを簡単に)
特別な勉強は不要です。「毎日繰り返す」ことで自然に身につきます。
◆ 対策②:手がかり再生は練習できる!
このテストは最も点差がつきやすいパートです。
出題形式を知り、記憶するコツを掴むだけで得点が伸びます。
◎ 出題例
・傘、猫、飛行機、帽子、ハサミ、時計など16個の絵を表示(5秒ずつ)
・数分後に「何がありましたか?」と聞かれる(ヒントなし・ありの2段階)
◎ 記憶のコツ
- 物を「グループ」に分ける(動物・道具・乗り物など)
- ストーリーにして覚える(例:猫が傘をさして飛行機に乗った)
- 声に出して覚える(視覚+聴覚で記憶)
◎ 無料対策ツール・教材も活用
- 地域包括支援センターで配布される冊子
- 「認知機能検査 対策」で検索すれば、無料プリントや動画も充実
- スマホやタブレット用の記憶力トレーニングアプリも有効
◆ 対策③:時計描写のコツは“普段から描いてみる”
アナログ時計の針を自分で描くことがない現代では、感覚が鈍っている方もいます。
◎ 練習方法
- 紙に円を描いて「11時10分」を自分で描く練習を数回
- 左右の針の長さと位置に注意
- 描いたあと、実際の時計と比べて確認
間違えやすいのは「短針の位置」。10分の場合、短針は11を少し過ぎた位置になるので注意です。
◆ 対策④:検査前日はしっかり休むこと!
当日は緊張しやすく、睡眠不足や不安感から普段の力が出せないことも。
前日は「早寝・バランスの良い食事・リラックス」が基本です。
◎ 前日にやっておきたいこと
- カバンに持ち物をまとめておく(眼鏡・通知書・免許証)
- 会場までの行き方を家族と確認
- 早めに就寝(最低6〜7時間は眠る)
◆ 家族のサポートが検査結果を左右することも
家族の声かけや日常的なサポートが、記憶力や自信に大きく影響します。
◎ サポートの例
- 日常会話に「今日は何曜日?」「昨日の晩ご飯は何だった?」などを自然に取り入れる
- 検査対策プリントを一緒にやってみる
- 緊張をほぐすような言葉がけをする
- 当日の付き添いや送迎
高齢者の中には「できなかったらどうしよう」と思い詰める方も多いため、家族の協力が安心材料になります。
◆ よくあるQ&A
Q. 検査で点数が低かったら免許がなくなるの?
A. 点数が低くても、即時失効とはなりません。医師の診断や追加検査を経て、最終判断が下されます。
Q. 認知機能検査は再受験できる?
A. 原則として、同一更新期間中に再受験はできません。再検査は不可なので、最初の検査に集中を。
Q. 検査が免除される場合はある?
A. ごく一部に限られますが、「最近受けた検査結果が有効である」と認められた場合は免除されることもあります。ただし、通常は75歳以上全員が対象です。
◆ まとめ:不安にならず、前向きな準備が大切!
・認知機能検査は75歳以上の免許更新時に必須
・内容は「時間の感覚」「記憶」「時計描写」
・事前のトレーニングで十分対策が可能
・家族の支援や声かけも重要なサポート
・最終目的は“事故を防ぎ、安全な運転を続ける”こと
必要なのは、「怖がること」ではなく「備えること」。
自信をもって検査に臨めるよう、今日から少しずつ準備を始めてみましょう。