クルマがその性能を十分に発揮できるのは、タイヤが路面をしっかりグリップしている(接地している)条件下でのこと。いくら200馬力のハイパワーを持つクルマでも、タイヤの性能が低いと、せっかくのパワーが生かせないだけでなく、逆にハイパワーが災いしてスピン(スリップして車体が向きを換えること)しやすくなる。
雨の日は、それと同じことが比較的簡単に起こり、より慎重な運転操作が要求されることになる。
レースでも、雨の日はスピードが大幅に低下する。とび抜けたドライビング・ テクニックを持つレーシング・ドライバーでさえ、雨によるクルマの運動能力の低下まではカバーできないでいることの証明といえるだろう。
だからこそ、雨の日の運転はスピードを十分に落とし、スムーズな操作に徹するべきだ。
急な操作はタイヤのスリップを生じさせる最大の原因。落ち着いて操作を開始、その後も緩やかな操作を連続させるよう努めたい。これが雨の日や濡れた路面をうまく走る最大のコツだ。
ここが違う、雨の日と晴れの日の運転のし方
濡れた路面では、発進時にクラッチのミートをいつもより低い回転数で行い、シフトアップのタイミングも早めにする。ハイパワー車では、乾燥した路面と同じ感覚で加速するとスリップして直進性を失いがち。工事中の鉄板の上や踏み切りのレールは、特に滑りやすくなっているので注意したい。
ハンドルは、乾燥路面の場合より一呼吸早いタイミングでゆっくり切りはじめ、 緩やかにカーブを曲がる。
スピードはもちろん控えめに。コーナーではスピードを抑え、できるだけ舵角を一定に保って回るのがよい。
ブレーキペダルは、晴天時より1・5 倍ぐらい手前から踏みはじめる気持ちでちょうどよい。
晴れのとき以上にエンジンブレーキを活用することも忘れないようにしたい。
万一、スリップしたら、少し足の力を緩め、再び踏み込むというポンピングブレーキを繰り返すのが原則。
これでより安全に、しかも安定したブレーキ力が得られる。
なお、AT車でMT車と異なる操作上のポイントは、アクセルの踏み方を浅めにして早めにシフトアップすることである。そうすれば、タイヤにかかる駆動力が小さくなり、スリップしにくくなる。